海外赴任は子どもに英語を身につけさせる絶好のチャンスですが、英語教育に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
多くの方が、海外に行けば英語が話せるようになると期待します。
しかし、たとえ海外に住んだとしても、なにもしないで自然に英語が身につくわけではありません。
なぜなら海外に住んでも家庭で日本語を話し、日本語学校へ通うと英語に触れる機会はほとんどないからです。
英語の基礎がなければ、外で英語を話す自信もありません。
たまに無理やり子どもに英語を話させようとする保護者がいますが、逆に子どもは英語嫌いになってしまいます。
私は長年海外に住んでたくさんの日本人家族と接してきました。
子どもに英語を教えていた時期もあります。
そこで感じたことは、海外赴任で子どもが英語を話せるようになるかどうかは親の考え方次第だということです。
子どもが海外在住中に少しでも英語が話せるようになるために、この記事では、海外赴任前に行うべき子どもの英語準備について、年齢別のアプローチと効果的な方法を詳しくご紹介します。
この記事を読むと、日本でどういう準備をしたらいいか、海外赴任する子どもの年齢によって英語教育をどう取り入れたらいいかがわかります。
赴任する国や学校により差はありますが、親がどこまで真剣に英語に向き合うか、家庭でどこまで英語環境を与えられるかで子どもの英語習得に差がつきます。
そして、なにより大切な事は日本での英語の準備です！
適切な準備で、子どもの海外生活をスムーズにスタートさせることが重要です。
海外赴任前の英語準備の重要性
海外赴任は子どもの英語力を飛躍的に伸ばす絶好の機会です。
しかし、「現地に行けば自然に英語が身につく」という考えは大きな誤解です。
適切な準備なしで渡航すると、子どもが現地での適応に苦労し、貴重な成長の機会を逃してしまう可能性があります。
なぜ事前準備が重要なのか？
まず、なぜ準備が必要なのか。
その理由は、以下の4つです。
・言語の壁による不安の軽減
・学習の遅れを防ぐ
・文化ショックの緩和
・より多くの機会を活かせる
ひとつずつ解説します。
言語の壁による不安の軽減
基本的な英語力があれば、初めての海外生活での不安や戸惑いが大幅に軽減されます。
日常生活で必要な最低限のコミュニケーションができるだけで、子どもの自信につながります。
実際、日本では積極的だったのに、海外に来てから誰とも話さなくなり性格が変わってしまったとお悩みの保護者の方もいました。
日本で英語の準備をしていれば、最初から積極的に話しかけられたでしょう。
学習の遅れを防ぐ
英語力不足により、他の教科の学習にも影響が出る可能性があります。
小学生の中低学年ぐらいだと、1年遅れではじめてもキャッチアップできる子どももいます。
それでも最初は、学年を1、2年下げてはじめることが多くあります。
事前に英語の基礎を固めておくことで、現地の授業についていきやすくなります。
文化ショックの緩和
英語学習を通じて、事前に現地の文化や習慣に触れることができます。
誰も知らないところへ行くのは、子どもにとって不安なものです。
そこで言葉が話せないとなると、なおさら精神的な負担は大きくなるでしょう。
事前に少しでも英語を話すことに慣れておく、外国人の人と接することに慣れておくことで、現地での文化ショックを和らげ、スムーズな適応を促進します。
より多くの機会を活かせる
ある程度の英語力があれば、現地でのさまざまな活動に積極的に参加できます。
学校だけでなく、現地のスポーツクラブに参加したりイベントに参加することで、より豊かな海外経験を得ることができます。
適切な準備により得られるメリット
次に適切な準備をしておくと、得られるメリットを4つお伝えします。
・現地校やインターナショナルスクールへの入学がスムーズになる
・授業への参加に自信が持てる
・友人作りがしやすくなる
・海外生活全般への適応力が向上する
順番に見ていきましょう。
現地校やインターナショナルスクールへの入学がスムーズになる
海外赴任前に英語の準備をしっかりと行うことで、子どもの新しい学校への入学がとてもスムーズになります。
多くの学校では、入学時に英語力を確認するテストや面接があります。
事前に英語を学んでおくと、これらのテストや面接で自信を持って臨むことができます。
例えば、先生の質問をしっかり理解し、自分の考えを伝えられるようになります。
また、英語力に応じて適切なクラスに入れるため、授業についていきやすくなります。
さらに、学校生活で使う基本的な英語表現（「トイレに行っていいですか？」「この問題がわかりません」など）を覚えておくと、新しい環境にもすぐに馴染めるでしょう。
このように、事前の準備は、子どもの学校生活のスタートを大きくサポートします。
授業への参加に自信が持てる
英語の基礎ができていると、授業に積極的に参加できるようになります。
まず、先生の説明や指示が理解しやすくなります。
例えば、「教科書の15ページを開いて」「グループに分かれてください」といった指示にすぐに対応できます。
また、分からないことがあっても、「Could you explain that again, please?（もう一度説明してもらえますか？）」と質問する勇気が出てきます。
授業中のグループワークやプレゼンテーションでも、自分の意見を英語で伝えられるようになります。
これらの経験を通じて、子どもの自信はどんどん大きくなっていきます。
授業に積極的に参加することで、学習内容の理解も深まり、成績の向上にもつながります。
このように、英語力は授業への参加を通じて、子どもの学びをより豊かなものにします。
友人作りがしやすくなる
英語でコミュニケーションが取れると、新しい友達を作りやすくなります。
例えば、休み時間に「Can I play with you?（一緒に遊んでもいい？）」と声をかけたり、「What’s your favorite subject?（好きな教科は何？）」と話しかけたりすることができます。
言葉が通じることで、お互いの興味や好きなことを共有しやすくなり、友情を深めるきっかけになります。
また、クラスメイトから「日本語で何て言うの？」と聞かれたときに答えられると、子どもは特別な存在として認められ、自信を持てるでしょう。
言葉の壁が低くなることで、文化の違いを楽しみながら交流できるようになります。
このように、英語力は単なるコミュニケーションツールではなく、豊かな国際交流を育む大切な要素となるのです。
海外生活全般への適応力が向上する
英語の準備をしておくと、海外での日常生活全般がスムーズになります。
例えば、スーパーマーケットで「Where can I find the milk?（牛乳はどこにありますか？）」と尋ねたり、バスで「Does this bus go to the library?（このバスは図書館に行きますか？）」と確認したりできます。
困ったときに助けを求められることは、子どもの安心感につながります。
また、現地の文化や習慣についても、英語で学ぶことができます。
「Why do people take off their shoes before entering the house?（なぜ家に入る前に靴を脱ぐの？）」といった質問をする中で、文化の違いを理解し、尊重する心が育ちます。
新しい環境での様々な経験を通じて、子どもの適応力と問題解決能力が高まっていきます。
このように、英語力は海外生活を楽しみ、成長するための重要なツールとなるのです。
準備不足のリスク
逆に準備不足だとどのようなリスクが発生するのでしょうか。
適切な準備をせずに渡航した場合、以下のようなリスクが考えられます。
・自信の喪失やストレスの蓄積
・家族全体の生活の質の低下
・せっかくの海外経験が負の思い出になってしまう
海外赴任前の子どもの年齢別効果的な英語準備方法
では、海外赴任に行く前にどのような英語の準備をするといいのでしょうか。
ここでは、以下の年齢別に具体的な準備方法を紹介します。
・就学前の子ども（0-6歳）
・小学生（7-12歳）
・中学生（13-15歳）
順番に見ていきましょう。
就学前の子ども（0-6歳）
この年齢層は言語吸収力が高く、自然に英語を習得できる絶好の時期です。
積極的な性格の子どもであれば、特に日本で英語の準備をしなくても、現地に馴染んですぐに英語を覚えるでしょう。
ただし、もともと消極的な子は、周りの言っていることがわからず、園に行くことを拒否してしまう可能性があります。
また、日本で積極的だったのに、現地に行ったら大人しくなってしまったというケースも出てきます。
そのため、日本で少しでも英語に慣れておくことが大切です。
この年齢なら、特に塾に行って特訓する必要はありません。
週1~2回の英語スクールや気軽にできるオンライン英会話などで、外国人と英語を話す体験をしておくといいでしょう。
また現地では、積極的に英語に触れる機会を作ってあげてください。
この頃は耳が発達する時期で、この時期に聞いた音は子どもの記憶に残るといわれます。
ただし、海外赴任で英語の幼稚園へ入れる場合、海外赴任が終わって日本に帰ってきてから日本の小学校で困らないよう、家庭で日本語のサポートをしっかりしてあげることも大切です。
家では日本語、園では英語を徹底するといいでしょう。
小学校入学前に、海外赴任や海外移住が終わり帰国することになったら、日本で英語教材やオンライン英会話を使って、家庭で忘れないよう英語環境を整えてあげることが非常に大切です。
小学生（7-12歳）
海外赴任に向けて小学生の子どもが英語を準備する際は、基本的な英語力を身につけることが重要です。
これにより、現地の学校生活にスムーズに適応できるようになります。
おすすめの英語学習方法として、まず自宅で文法の基礎や簡単な会話表現を学ぶことが挙げられます。
これに加えて、週に2〜3回、各25分程度のオンライン英会話レッスンを受けることで、実践的なコミュニケーション能力を養うことができます。
そして、この効果はインターナショナルスクールや現地の英語を使う学校に通う場合に顕著です。
日本人学校に通う場合は、家庭で積極的に英語に触れる機会を作ることが不可欠となります。
年齢による違いも考慮する必要があります。
・低学年（1〜3年生）の場合：日本語の語彙も発達途中のため、英語の習得にも時間がかかる場合があります。
・高学年（4〜6年生）の場合：日本語の基礎が固まっているため、英語の吸収も比較的スムーズになります。
英語に触れる機会を増やすには、現地の習い事（ピアノ、サッカーなど）に参加させたり、家庭で英語レッスンや英語の歌、映画鑑賞の時間を設けたりするのが効果的です。
また、英語を使う友達と遊ぶ機会を作ることも大切です。
滞在期間については、理想的には2年以上の期間があれば、英語力が定着しやすくなります。
また、インターナショナルスクールに通う場合は、日本語力の維持も重要です。
将来日本の学校に戻ることを考え、日本語の学習も並行して行うことをおすすめします。
これらの準備と工夫により、子どもの海外生活がより充実したものになるでしょう。
現地での経験を最大限に活かし、グローバルな視点を持つ子どもに成長できるよう、しっかりとサポートしていくことが大切です。
中学生（13-15歳）
中学生の年代になると、日常会話に加えて学術的な英語力も必要となります。
そのため、より本格的な準備が求められます。
中学生で海外赴任に同行する場合、単に英語を話せるようになるだけでなく、英語で思考し、表現し、理解する高度な能力を身につける必要があります。
これは海外の学校で学ぶ際に不可欠な、学術的英語力です。
まず、「TOEFL Junior®」の受験をおすすめします。
これは中学生向けの英語能力テストで、現地の学校入学時の英語力証明として活用できます。
このテスト準備を通じて、読解力、聴解力、文法力など、総合的な英語力を伸ばすこともできますよ。
中学生の時期は、日本語でもかなり高度な語彙が身についており、かつ考え方も柔軟です。
そのため、海外の学校に溶け込みやすく、英語習得にも適した時期といえます。
特に2年程度英語環境で過ごせれば、発音やリスニング能力も高いレベルで身につけられる可能性があります。
一方で、この時期の海外赴任には課題もあります。
日本の高校入試への対応や、帰国後に日本の学校についていけるかどうかという不安があるでしょう。
そのため、家族で将来の方向性をしっかり話し合い、海外赴任に同行するかどうかを慎重に決める必要があります。
子どもの適性や家族の状況、将来のキャリアプランなどを総合的に考慮し、最適な選択をすることが大切です。
十分な準備と明確な目標があれば、海外赴任は中学生の成長と将来の可能性を大きく広げる素晴らしい経験となるでしょう。
海外赴任の子どもが通う学校別英語準備の必要性
海外赴任先によって、子どもの学校はいくつの選択肢があります。
- 日本人学校
- インターナショナルスクール
- 現地校
それぞれの学校へ行くための英語の準備は若干異なります。
ひとつずつ見ていきましょう。
日本人学校に通う場合
海外赴任先に日本人学校のある場合、日本人学校へ入れる選択もあります。
この場合、英語の必要性は日本で生活している時とあまり変わりません。
家庭でも学校でも日本語のため、海外に住んでいても英語を使う機会は少ないでしょう。
ただし、日本に住んでいるときよりは英語に触れる機会は断然多くなります。
買い物に行ったり外食したり、すべて英語が耳に入ってきます。子どもに英語のへ興味を持たせるには、絶好のチャンスです。
ただしムリに子どもに英語を話させるというより、親が英語で対応しているところを子どもに見せるのも大切です。
子どもにとって英語はぐっと身近になるでしょう。
そして日本より英語塾も多いですから、積極的に英語を習わせることです。
日本人学校へ通う場合は、よほど親が力を入れないと、海外赴任で現地に住んでいるからといっても、２~３年で英語を習得するのは難しいでしょう。
出発前に英語の準備をする必要性は低いですが、英語を習得したい場合、家庭で積極的に英語学習を取り入れるのが重要です。
インターナショナルスクールや現地校に通う場合
日本人学校が選択肢にない場合や、海外赴任を英語習得の絶好の機会と捉える場合、インターナショナルスクールや現地校への入学を検討することになるでしょう。
しかし、ここで注意すべき重要なポイントがあります。
それは、これらの学校に入学する場合、事前の英語準備が必須だということです。
なぜ事前準備が重要なのでしょうか。
インターナショナルスクールや現地校では、授業のほとんどが英語で行われます。
十分な英語力がないまま入学すると、授業についていけず、学習面で大きく遅れをとる可能性があります。
さらに、友人関係の構築や学校生活への適応にも困難を感じる可能性が高くなるでしょう。
このような状況を避け、子どもが新しい環境で充実した学校生活を送るためにも、日本にいる間からしっかりとした英語の準備が不可欠なのです。
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Global Step Academyについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
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言語の壁に躓くことなく、新しい環境での学びや交流に全力を注ぐことができるのです。
海外赴任出発前の子どもにおすすめの英語準備はインプット学習とアウトプット学習
現地に行ってすぐにインターナショナルスクールへ通わせたい、できれば同じ年代の子と勉強させたいと思うなら、海外赴任出発前に日本で英語の準備は必須だということを説明してきました。
そこで、具体的にどのような英語学習をするといいのかを紹介します。
英語習得には、インプット学習とアウトプット学習が非常に大切です。
- インプット学習：単語や文法の学習、フレーズの暗記など
- アウトプット学習：英語を聞いて話す練習
インプット学習とアウトプット学習をうまく取り入れることで、現地で気後れすることなく英語の生活を開始できるでしょう。
使える英語を覚える インプット学習編
まず、日本でするべき準備は、英単語や文法、フレーズをたくさん覚える英語のインプット学習です。
インプットした単語・文法・フレーズが多ければ、現地ですぐに実践練習のアウトプット（話す）学習をすることで、比較的早いうちに会話が成り立ちます。
とくに、幼少期の耳からたくさん聞いてインプットする音声インプットは重要です。
インプットの大切さは数々の論文で発表されています。
矢野 智子（京都市総合教育センター研究課 主任研究員）さんも、下記の研究報告を出しています。
参考論文：小・中学校における効果的な英語インプットのあり方に関する研究（1年次）
そして、インプット学習で大切なことは、単語や文法は使えるフレーズであること！
「せっかく覚えた単語や文法が現地では使えない」とならないよう、使えるフレーズをたくさん聞いて覚えるのです。
残念ながら今の日本の英語教育は、実際に使わないフレーズが多いようです。
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セブンプラスバイリンガルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
【七田式の英語教材】子どもの英語学習に迷ったらセブンプラスバイリンガル！
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よくある質問
質問: 何歳から英語の準備を始めるべきですか？
回答: 早ければ早いほど良いですが、0-6歳が特に言語吸収に適した時期です。ただし、どの年齢でも準備を始めることで大きな効果が得られます。
質問: 現地校とインターナショナルスクール、どちらを選ぶべきですか？
回答: 子どもの英語力や適応力、また将来の進路計画によって異なります。現地校はより深い文化体験ができますが、学習面での負担が大きい場合があります。インターナショナルスクールは国際的な環境で学べますが、費用が高額になる傾向があります。
質問: 帰国後、身につけた英語力を維持するには？
回答: 定期的なオンライン英会話、英語の本や映画の活用、英語を使用する習い事への参加などが効果的です。また、夏休みなどを利用した短期留学も検討に値します。
海外赴任前の子供の英語準備はこれ！年齢別・学校別完全ガイドのまとめ
海外赴任は、子どもの英語力向上と国際感覚を養う絶好の機会です。
しかし、「現地に行けば自然に英語が身につく」という考えは誤りです。
成功の鍵は、出発前の十分な準備にあります。
・インプットとアウトプットのバランスの取れた練習
・家族全体での積極的な取り組み
これらが重要です。
日本人学校、インターナショナルスクール、現地校のいずれを選択する場合も、事前の英語力強化は不可欠です。
適切な準備により、子どもは新しい環境にスムーズに適応し、貴重な海外経験を最大限に活かすことができます。
ぜひ貴重な経験を生かしてあげてくださいね。
