「ワーホリで外国人と知り合えるかな?」
「国際結婚って憧れるな…」
そんな思いを抱いている方は少なくないでしょう。
私も20代前半にオーストラリアへワーキングホリデー(以下、ワーホリ)に行ったひとりです。
そして、そこで出会ったマレーシア人の男性と結婚し、1995年からマレーシアで暮らしています。
この記事では、私の30年に及ぶ国際結婚生活の経験と、他のワーホリ経験者の声をもとに、国際結婚の現実とそこで直面する課題、そして私が考える成功のための秘訣をお伝えします。
国際結婚とワーキングホリデーに関する興味深い傾向
- 日本人の国際結婚は近年減少傾向にありますが、依然として年間数万件の国際結婚が行われています。
- ワーキングホリデー参加者の中には、現地で出会った人と結婚するケースがあり、参加者の一定数が国際結婚につながっているとされています。
- 国際結婚は言語や文化の違いなどから、一般的な結婚と比べてより多くの課題に直面する可能性があるといわれています。
これらの傾向から、国際結婚は珍しいものではありませんが、同時に独特の課題も抱えていることがうかがえます。
ワーキングホリデーは国際結婚のきっかけとなることがありますが、慎重な検討が必要です。
この記事が、ワーホリや国際結婚に憧れている人、これからワーホリに行って国際結婚する可能性のある方の参考になればうれしいです。
これからワーホリに行く人はこちらの記事もぜひお読みください。
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国際結婚のメリット:文化の融合がもたらす豊かさ
国際結婚はもちろんメリット・デメリットがあります。
人によってメリットと感じるところデメリットに感じるところはさまざまです。
ここでは、日本人と結婚していたら感じなかっただろう、国際結婚だからこそ気づけた、メリットをご紹介します。
・二国間の良いところ取り
・二カ国に生活拠点を持てる可能性
・視野の広がり
順番に詳しく見ていきましょう。
二国間の良いところ取り
国際結婚の醍醐味は、二つの文化の良いところを日常生活に取り入れられることです。
これは単なる「いいとこ取り」ではなく、新しい価値観や生活様式を創造する機会となります。
例えば、私の日本とマレーシアの文化の融合では、以下のことを感じます。
時間感覚
日本の時間厳守の精神と、マレーシアのゆったりとした時間の流れを組み合わせ、状況に応じて柔軟に対応できるようになりました。
食文化
和食の繊細さとマレーシア料理のスパイシーさを融合させ、家族独自の「日本風マレーシア料理」が誕生しました。
教育方針
日本の規律正しさとマレーシアの自由な発想を取り入れ、子どもたちにバランスの取れた教育を提供しています。
コミュニケーション
日本の「以心伝心」とマレーシアの直接的な表現方法を状況に応じて使い分け、より豊かなコミュニケーションが可能になりました。
環境意識
日本のゴミ分別の習慣をマレーシアの生活に取り入れ、家族で環境保護の意識を高めています。
このように、二つの文化を融合させることで、より豊かで柔軟な生活スタイルを築けます。
時には「海外在住だから」「日本人だから」という言い訳も使えますが(笑)、それ以上に、両国の良さを活かした独自の生活文化を創造できることが国際結婚の大きな魅力です。
この文化の融合は、子どもたちにとっても貴重な経験となり、グローバルな視点と柔軟な思考を身につける機会となっています。
国際結婚は挑戦である一方、新しい可能性を開く扉でもあるのです。
二カ国に生活拠点を持てる可能性
国際結婚の大きなメリットの2つ目は、二カ国に生活拠点を持てる可能性が広がることです。
これは、配偶者ビザという特別なビザが取得できるためです。
配偶者ビザについて、もう少し詳しく説明しましょう。
配偶者ビザとは、国際結婚をした場合に、配偶者の国に長期滞在するために発給される特別なビザです。
このビザは通常の就労ビザや学生ビザと比べて、取得や更新が比較的容易で、滞在期間も長いのが特徴です。
【日本の配偶者ビザの場合】
・期間が切れても、条件を満たせば何度でも更新できるので、実質的に永住が可能です。
・このビザがあれば、日本で自由に働くことができます。職種の制限もありません。
・国民健康保険に加入でき、日本の医療サービスを受けられます。
・一定期間日本に住んだ後、永住権の申請も可能になります。
同様に、多くの国で配偶者ビザの制度があります。
例えば、記事の筆者が住むマレーシアでも、外国人配偶者向けのビザがあり、長期滞在や就労が可能になっています。
【この制度のメリット】
・両国で合法的に働ける可能性がある
・それぞれの国の社会保障制度を利用できる可能性がある
・子供に二重国籍の可能性を与えられる(国によって規定は異なります)
つまり、国際結婚をすると、二つの国で生活するチャンスが広がります。
これは単なる海外移住とは異なり、両国に正式な滞在資格を持てるという大きな利点があります。
例えば、一方の国で仕事の機会が減った場合、もう一方の国で仕事を探すこともできます。
また、家族の事情や子どもの教育など、ライフステージに応じて住む国を選べる柔軟性も得られます。
ただし、配偶者ビザの取得や更新には一定の条件があり、国によって規定も異なります。
また、税金や年金などの問題も考慮する必要があります。
そのため、国際結婚を考えている場合は、両国の移民法や関連する制度をよく調べることをおすすめします。
視野が広がり、日本のいい所、悪い所がわかる
国際結婚のメリットの3つ目に、視野が広がり、日本の良い点と改善が必要な点をより客観的に理解できるようになることがあります。
海外で暮らすことで、日本の文化や社会システムを外から見る機会を得られ、新たな気づきが生まれます。
この経験について、もう少し詳しく説明しましょう。
日本の良さを再発見できる
海外で生活すると、当たり前だと思っていた日本の良さを改めて実感することがあります。
例えば:
・清潔さ:日本の街の清潔さ、公共トイレの衛生状態の良さなど
・時間の観念:電車やバスの時間の正確さ、約束時間を守る文化
・サービスの質:店員の丁寧な対応、細やかな気配り
・食文化:和食の繊細さ、季節感、健康的な側面
・公共の安全:夜道をひとりで歩ける治安の良さ
・四季の美しさ:桜、紅葉など、季節の移り変わりの美しさ
これらは、海外で生活してみて初めて、その価値を深く理解できることも多いです。
日本の課題も見えてくる
一方で、以下のような日本社会の課題も客観的に見えてくることがあります。
・集団主義:個性よりも協調性を重視する傾向
・同調圧力:周りと違うことを避ける雰囲気
・働き方:長時間労働、休暇の取りにくさ
・ジェンダーギャップ:女性の社会進出や管理職登用の遅れ
・多様性の受容:外国人や少数派に対する理解不足
これらの課題は、海外での生活経験を通じて、より鮮明に感じられるようになることがあります。
新たな視点を持てる
国際結婚を通じて、パートナーの文化や価値観に触れることで、物事を多角的に見る力が養われます。
例えば:
・家族観:大家族制vs核家族制、親子関係の在り方
・教育観:詰め込み型vs探求型、学歴重視vs経験重視
・仕事観:終身雇用vs転職文化、仕事とプライベートのバランス
これらの違いを日々の生活で体験することで、「正解はひとつではない」という柔軟な思考が身につきます。
自己アイデンティティを再構築できる
海外で暮らし、異文化と接することで、自分のアイデンティティについて深く考える機会を得られます。
「日本人とは何か」「自分にとって大切な価値観は何か」を改めて問い直すことで、より確固たる自己認識を持つことができます。
偏見が解消される
国際結婚を通じて、異文化との直接的な接点を持つことで、メディアなどを通じて形成されがちな偏見や固定観念が解消されることがあります。
例えば、「〇〇人は△△」といったステレオタイプが崩れ、一人ひとりを個人として見る目が養われます。
結論として、国際結婚は単に二つの文化が混ざり合うだけでなく、自分自身の価値観や世界観を大きく広げる機会となります。
日本の良さを再認識しつつ、改善点にも目を向け、より豊かな視点で世界を見ることができるようになるのです。
これは、グローバル化が進む現代社会において、非常に貴重な経験といえるでしょう。
国際結婚のデメリット:乗り越えるべき壁
国際結婧には多くの魅力がある一方で、避けられない課題もあります。
ここでは、国際結婧の主なデメリットと、それらを乗り越えるためのヒントをご紹介します。
言語と文化の違いによる摩擦
異なる言語や文化背景を持つ2人が一緒に暮らすということは、日々の生活の中で小さな摩擦が生じる可能性があるということです。
例えば、言葉の使い方や表現の違いから誤解が生まれたり、習慣や価値観の違いからストレスを感じたりすることがあります。
私の経験では、マレーシア人の夫との間で、食事の習慣や時間の感覚などで違いを感じることがありました。
日本では「時間厳守」が当たり前ですが、マレーシアではもっとゆったりとした時間感覚があります。
初めのうちは、約束の時間に遅れてくる夫にイライラしたものです。
しかし、このような違いは決して乗り越えられない壁ではありません。
むしろ、お互いの文化を理解し尊重し合う機会になります。
大切なのは、オープンなコミュニケーションを心がけ、相手の背景にある文化や考え方を理解しようとする姿勢です。
時には妥協も必要ですが、そうして築き上げた関係は、単一文化の中では得られない深さと豊かさを持つことができるのです。
遠距離の家族との関係
国際結婧のもっとも大きなデメリットのひとつは、自国の家族と物理的に離れてしまうことです。
私の場合、日本の家族と離れて、マレーシアで暮らすことになり、当初は「飛行機で簡単に行き来できる」と楽観的に考えていました。
しかし現実は異なりました。
仕事や子育てが始まると、思うように帰省できなくなります。
子供の成長を祖父母に見せられないことや、親の老いや病気の際にすぐにそばに駆けつけられないことは、大きな心の痛みとなります。
特に、親の介護や看取りの問題は、海外に住む者にとって深刻な課題です。
また、予期せぬ事態、例えば新型コロナウイルスのパンデミックのような状況下では、国境を越えての移動が制限され、家族との物理的な距離がさらに広がってしまいます。
しかし、現代のテクノロジーは、この問題を部分的に解決してくれます。
ビデオ通話やSNSを活用することで、日々のコミュニケーションを保つことができます。
また、長期的な計画を立てて定期的な帰省を組み込んだり、家族にも現地に来てもらったりすることで、絆を維持することが可能です。
距離があっても、心の繋がりを大切にする努力を続けることが重要です。
ビザや手続きの煩雑さ
国際結婧に伴う行政手続きの複雑さも、無視できないデメリットのひとつです。
配偶者ビザの取得や更新、在留資格の変更、そして子供が生まれた際の国籍選択など、通常の結婚では経験しない手続きが多く発生します。
これらの手続きは往々にして時間がかかり、必要書類も多岐にわたります。
言葧の壁も相まって、ストレスフルな経験になることもあります。
また、法律や規則の変更にも常に注意を払う必要があり、長期的な視点でのプラン二ングが求められます。
私の場合、マレーシアでの滞在許可を更新する際に、毎回多くの書類を準備し、長時間待たされることがありました。
手続きの煩雑さを乗り越えるには、情報収集と準備が鍵となります。
今はネット検索である程度調べることが可能です。
また、同じような状況にある他の国際カップルとネットワークを作り、情報交換することは、大きな助けになるでしょう。
これらのデメリットは確かに存在しますが、それらを乗り越えることで得られる経験や絆は、国際結婧ならではの価値あるものです。
困難を共に乗り越えることで、夫婦の絆はさらに深まり、より豊かな人生経験を積むことができるのです。
国際結婚成功のための3つの秘訣
日本で外国の人と出会いたい、結婚したいと思っている人は、ワーホリなどで海外に住むと日本にいるより確実に出会いは多くなります。
これは海外で心細いので人に頼る機会が増えるのと、日本から出た解放感からでしょうか。
しかしワーホリで知り合ってそのまま結婚というのは、自分の経験からもう少しよく考えた方がいいと思います。
結婚前に相手とその家族をよく知る
ワーホリは基本1年のビザなのでここで知り合った彼、彼女とは1年未満のお付き合いです。
相手は自分のことや自分の家族のこともよく知らないわけですし、自分も相手の事や相手の家族のことをどこまで把握できるているかわかりません。
とくに国際結婚で相手の国に住む場合、生活スタイルは相手側に合わさなければいけないことが多く、ここで「日本ではこうする!」と言い張っていては上手くいかないし自分も疲れます。
国際結婚に限らずですが、結婚で上手くいくためにどこまで妥協できるかが大切です。
国際結婚するとこの妥協のハードルが、日本人との結婚より高くなる気がします。
結婚したとたん相手の親兄弟が「一緒に住む」といって移り住んできたなんていうケースも実際にありました。
その民族では結婚したら当たりまえの事でご主人も「何がダメなの?」と取り合ってくれなかったそうです。
そういう事態に妥協できるか、結婚前によく見極めておくのが重要です。
海外生活の現実を直視する
ワーホリや留学などで海外に住んでみると「大丈夫。自分なら海外に住める。」と思うかもしれません。
デメリットでも書きましたが、結婚するときは飛行機でいつでも里帰り帰国すればいいと思います。
しかし子供ができて学校の都合があったり、仕事の都合があったり、お金の都合も出てきて思うように帰れないこともあります。
また子育て中も自分の両親に孫の成長を頻繁に見せることはできません。
今はビデオ通話で動画をシェアできるのでそれほど距離を感じないかもしれませんが、それでもおじいちゃん、おばあちゃんに孫をぎゅっと抱きしめさせてあげたいですよね。
結婚のときには漠然としか考えられないですが、親の介護や死というのもいつかは直面します。
介護が必要になったとき側にいてあげられないつらさ、国際結婚では親の死に目に会えない可能性も高くなります。
結婚を考えるときこういう事もすべて覚悟して決断しないと、あとで「こんなはずじゃなかった」と後悔します。
そして自分の寂しい気持ちをご主人や奥さんが理解してくれないと、夫婦仲も上手くいかず離婚に至ってしまうこともあります。
相手の国を尊重する姿勢
日本は先進国で商品も豊富で綺麗で安全で、とても素晴らしい国です。
そのような日本から海外(特に後進国)へ行くとどうしても日本の方が優れていると感じます。
ワーホリで行った先進国のオーストラリアでさえ、日本の服や食事の充実さなど痛感しました。
まして私が嫁いだマレーシアはまだ発展途上国でした。
現在は急成長している国ですが、結婚した1993年はまだ物価も安く、日本では当たり前のものが手に入らないという事もしばしば。
そうなるとどうしても「マレーシアはどうしてこうなの?」と主人に愚痴ってしまいます。
しかしマレーシアの人にとってはマレーシアが一番です。
悪口をいわれたらいい気はしません。
ここで相手の国の事がどうしても理解できないと、旦那様ともギクシャクして離婚に至ることも出てきます。
私の場合は長女が産まれた時「日本式が一番!」と頑なに義母の助言を聞き流していました。
主人が私の意見を理解して、義母と上手く取り持ってくれたから良かったですが、主人もマレーシア式を主張していたらこじれていたかもしれません。
その後2人目、3人目で忙しくなり日本式にこだわっていられなくなったことや、マレーシアにもいい物がたくさん出回ったり、いい情報をくれる友達と知り合えたりして、どんどん現地育児に慣れていきました。
今周りを見るとマレーシア式で育った子供たちも、みんな立派に成長しています。
日本式にこだわった自分は何だったんだろうと感じます。
ただし国際結婚でも出会った場所によって若干状況は変わります。
日本で出会った場合、相手の人が日本の文化や習慣をよく理解しているので、また違った結婚生活になるのかもしれませんね。
まとめ:幸せな国際結婚のために
20代でオーストラリアへワーホリに行き、マレーシア人の主人と知り合いました。
遠距離恋愛から国際結婚した体験より国際結婚で気をつけたいことなどを紹介しました。
名前すらよく分からない国の事をよく調べもせず飛び込んでここまでこれたのは、運が良かったとしかいいようがありません。
主人の人間性だけを信じてきた訳ですから、騙されていてもまったく気付かなかったと思います。
実際「この人は騙されているのでは?」と思う結婚をした人も見てきました。
30年たち自分が経験してきたこと、周りを見て感じたことがたくさんあります。
私の経験がこれから国際結婚しようと思っている方に少しでもお役に立てば幸いです。
最後に、国際結婚を考える上でもっとも重要なのは語学力です。
言葉の壁を乗り越えることで、多くの問題を解決できますよ。
ワーホリや国際結婚を考えている方は、まずは英語学習から始めてみてはいかがでしょうか。