海外での生活が決まると、誰もが気になるのが子どもの教育ですよね。
インターナショナルスクールか日本人学校か、どちらを選ぶか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、筆者が実際に子どもをインターナショナルスクールと現地校に通わせ、さらに日本人学校で教えた経験を基に、両校のメリットとデメリットを比較し、学校選びのヒントを提示します。
「インターナショナルスクールと日本人学校、どちらが良いか?」
その答えは簡単ではありません。
どちらにも魅力があり、一方で課題も存在します。
今回このテーマを選んだのは、インターナショナルスクールか日本人学校、どちらにするかすごく迷ったという話を聞いたからです。
自分の経験を活かし、この記事では、学校選びで迷う保護者の方々に少しでも役立つ情報を提供したいと考えています。
ただし、ここで紹介する内容はあくまで個人の見解であり、どちらの選択が絶対的に正しいというわけではありません。
学校選びは、お子様の性格や将来の目標、そしてご家族の価値観や状況に合わせて、最適な選択は大きく変わってきます。
大切なのは、自分の子どもにとって最適な選択をすることです。
この記事が、お子様に合った教育環境を選ぶために少しでも参考になれば幸いです。
海外での学校選びは難しい決断ですが、家族で十分に話し合い、お子様の将来を見据えて選択してあげてください。
海外赴任に同行する子どもの学校選びの重要性
海外赴任が決まったご家族にとって、子どもの学校選びはもっとも重要な決断のひとつです。
特に、インターナショナルスクールと日本人学校の選択は、お子様の教育や将来に大きな影響を与える可能性があります。
なぜ学校選びがそれほど重要なのでしょうか?
こちらがその理由だと考えます。
・教育カリキュラム
・文化的背景
・将来の進路
・子どもの性格や適性
・家族の将来の計画
ひとつずつ詳しく解説します。
言語環境
言語環境は、インターナショナルスクールと日本人学校で大きく異なります。
インターナショナルスクールでは、ほとんどの授業が英語で行われ、数学や理科といった教科も英語で学びます。
「英語を学ぶ」のではなく、「英語で学ぶ」場所であることを理解しておく必要があります。
日常的に英語を使用するため、実践的な英語力が自然と身につきますが、英語が理解できないとすべての教科に影響が出る可能性があります。
一方、日本人学校では基本的に日本語で授業が行われます。
英語の授業も設けられていますが、時間数は日本の学校と同程度です。
そのため、日本語力を維持・向上させやすい環境といえますが、英語の習得はそれほど期待できません。
教育カリキュラム
教育カリキュラムにも大きな違いがあります。
インターナショナルスクールでは、国際バカロレア(IB)やイギリスのGCSE、アメリカのAP(Advanced Placement)など、国際的に認知されたカリキュラムを採用していることが多いです。
これらのカリキュラムは、クリティカルシンキングやディスカッションを重視し、プロジェクトベースの学習や体験学習を多く取り入れる傾向があります。
対して日本人学校は、日本の文部科学省が定める学習指導要領に沿ったカリキュラムを提供します。
日本の教科書を使用し、日本の学校と同様の進度で学習を進めます。
また、日本の受験を意識した学習内容も含まれることがあります。
文化的環境
文化的環境も両校で大きく異なります。
インターナショナルスクールでは、様々な国籍や文化背景を持つ生徒が在籍しており、多様性を尊重し、異文化理解を促進する環境が整っています。
国際的な行事や文化交流イベントも多く開催されます。
一方、日本人学校は主に日本人の生徒が在籍しているため、日本の文化や習慣を維持しやすい環境です。
日本の学校行事(運動会、文化祭など)が行われることも多く、日本人コミュニティとの繋がりが強くなりやすいという特徴があります。
将来の進路
将来の進路を考えると、インターナショナルスクールは海外の大学進学を視野に入れやすく、そのための準備がしやすい環境です。
英語力や国際的な視野が身につきやすいため、将来的にグローバルな職場での活躍が期待できます。
ただし、日本の大学受験のためには別途準備が必要になる場合があります。
日本人学校の場合、帰国後に日本の学校へスムーズに適応できることが期待でき、日本の大学受験に必要な学力や知識を身につけやすいです。
しかし、海外の大学進学を目指す場合は、英語力や国際的な資格の取得に向けて追加の準備が必要になります。
子どもの性格や適性
子どもの性格や適性によっても、適した環境は異なります。
新しい環境に適応しやすく、言語の習得が早い子どもは、インターナショナルスクールでより力を発揮できる可能性があります。
一方、日本の教育システムに馴染みがあり、そこで安心して学べる子どもには日本人学校が適している場合があります。
また、グループワークが得意か個人学習が得意かといった学習スタイルによっても、適する環境が異なることがあります。
家族の将来計画
最後に、家族の将来計画も学校選びに大きく影響します。
滞在期間が1~2年程度の場合、帰国後の再適応を考慮して日本人学校を選ぶ家庭が多いです。
長期滞在や永住を考えている場合は、現地社会への適応を促すためにインターナショナルスクールを選ぶことがあります。
また、将来的に子どもを海外の大学に進学させたいと考えている場合、インターナショナルスクールが有利に働く可能性があります。
ここで強調したいのは、どちらの選択が「正しい」わけではないということです。
私の子どもは、3者3様の学校で学びました。
インターナショナルスクールで学んだ子もいますが、それが他の子に適していたかは疑問です。
日本人学校は行かせていませんが、日本人学校で教えていたときの生徒を見ると、日本人学校を選ぶことが必ずしも英語習得の機会を逃すことにはならないと考えます。
また、インターナショナルスクールや現地校に通っても、日本語を習得できないというわけではありません。
重要なのは、お子様の性格、学習スタイルをよく考慮し、家庭でどこまでサポートできるかです。
例えば、日本人学校に通わせながら、放課後や週末に現地の子どもたちとの交流の機会を積極的に設ける家庭もあれば、インターナショナルスクールに通わせながら、家庭で日本の文化や言語を大切にする取り組みをしている家庭もあります。
このように、親の協力やサポートの仕方によって、どちらの学校を選んでも素晴らしい経験になる可能性があります。
これらを踏まえて、学校選びの参考になるよう、私の経験と観察、一般的な傾向を基にインターナショナルスクールと日本人学校のメリットとデメリットをご紹介します。
インターナショナルスクールのメリット・デメリット
まずは、インターナショナルスクールのメリットとデメリットについて説明させていただきます。
これらは、お子様の性格や家庭の状況、通う国の性質によっても、感じ方や影響は大きく異なる可能性があることを、まず強調しておきたいと思います。
インターナショナルスクールのメリット
インターナショナルスクールのメリットとして、以下の4つがあると考えます。
英語力の向上
インターナショナルスクールでは、日常的に英語を使用するため、自然な形で英語力が身につきやすいです。
ただし、言語習得の速度は個人差が大きいため、すべての子どもが同じように英語を習得できるわけではありません。
また、子どもの年齢や日本でどれくらい英語の準備をしてきたかによっても大きく異なります。
国際的な視野の育成
様々な国籍の生徒や教師と交流することで、多様な文化や価値観に触れる機会が多くあります。
学校では、世界中から集まった多様な文化背景を持つ生徒たちが共に学びます。
教室内では、異なる国籍、言語、宗教、習慣を持つ友人たちと日々交流することで、自然と多様性を受け入れる姿勢が身につきます。
授業では、グローバルな視点から歴史や時事問題を学ぶ機会が多く、世界の様々な事象を多角的に捉える力が養われます。
また、国際的な行事や文化交流プログラムを通じて、自国の文化を再認識すると同時に、他国の文化への理解も深められます。
教師陣も多国籍であることが多く、様々な教育背景や指導法に触れることで、柔軟な思考力や問題解決能力が培われます。
さらに、英語を共通言語として使用することで、国際的なコミュニケーション能力も自然と身につきます。
これは、グローバル社会で活躍する上で大きな強みとなり、私はインターナショナルスクールに通う一番のメリットだと考えます。
創造性とクリティカルシンキングの育成
多くのインターナショナルスクールでは、ディスカッションやプロジェクトベースの学習を重視しています。
これは、生徒の創造性や批判的思考力を育成することを目的としています。
自主的に課題を見つけ、解決策を考え出す能力を養うことに重点を置いているのです。
私の経験でも、インターナショナルスクールで学んだ子どもたちは、自分の意見を積極的に表現し、新しいアイデアを生み出すことに長けている傾向がありました。
これは、学校での教育方針が反映された結果だと考えられます。
実際、インターナショナルスクールの子どもは、自主的に何かをはじめることが得意な子が多いと言われます。
国際的な大学進学への準備
インターナショナルスクールでは、国際的に認知された教育プログラム(例:国際バカロレア、Aレベル、APコース)を採用していることが多く、これらは世界中の大学で高く評価されています。
これらのプログラムは、批判的思考力や研究スキル、プレゼンテーション能力など、大学レベルの学習に必要なスキルを重点的に育成します。
また、英語で行われる授業や課題を通じて、アカデミックな英語力が自然と身につきます。
これは、TOEFLやIELTSなどの英語能力試験で高得点を取るのに役立ちます。
さらに、エッセイの書き方や研究方法など、欧米の大学で求められるスキルを早い段階から習得できるのも大きな利点です。
うちの子はインターナショナルスクールから、オーストラリアの大学へ進学しました。
そのことは、以下の記事で紹介しています。
【オーストラリアの大学留学の流れ】学費から永住権取得まで画像付きの体験談!
また、多くのインターナショナルスクールでは、大学進学のためのガイダンスやサポートが充実しています。
海外の大学システムに精通したカウンセラーが、志望大学の選び方から出願の手続きまでサポートしてくれます。
さらに、海外の大学の入学担当者が学校を訪問することも多く、直接情報を得られる機会があります。
インターナショナルスクールで学ぶことで、世界の大学へ進学する選択肢が広がります。
インターナショナルスクールのデメリット
ただし、インターナショナルスクールへ通うのは、メリットだけではありません。
ここでは、デメリットについてご紹介します。
学費が高額
インターナショナルスクールの学費は、日本人学校よりも高額です。
マレーシアのインターナショナルスクールは日本のインターナショナルスクールより安いと言われますが、それでも年間で数百万円に達することも珍しくありません。
これは、国際的なカリキュラムの導入、外国人教師の雇用、充実した設備などのコストが反映されているためです。
この高額な学費は、多くの家庭にとって大きな経済的負担となります。
ただし、企業からの補助がある場合や、奨学金制度を利用できる場合もあります。
また、一部のインターナショナルスクールでは、兄弟姉妹で入学する場合に割引を適用するなどの制度を設けています。
しかし、ペナンの日本人学校の料金は年間40万円ほどですので、それと比べると大きな出費となることは否めません。
参考:ペナン日本人学校入学手続きについて
日本語力や日本文化への理解の低下
インターナショナルスクールでは、授業や日常のコミュニケーションのほとんどが英語で行われるため、日本語を使用する機会が大幅に減少します。
これにより、日本語の読み書きや、日本特有の表現、敬語の使い方などが十分に身につかない可能性があります。
また、日本の歴史や文化、習慣に触れる機会も限られるため、日本人としてのアイデンティティーの形成に影響を与える可能性があります。
日本の文化や価値観から離れすぎると、日本人でありながら、日本社会に順応できなくなる心配があります。
特に幼少期からインターナショナルスクールに通っている場合、この傾向が強くなることがあるようです。
しかし、この問題は家庭での取り組みによってある程度軽減することができます。
例えば以下のような取り組みが考えられます。
・日本の絵本や漫画、小説を読む時間を設ける
・日本のテレビ番組や映画を一緒に視聴する
・日本の行事や習慣を家庭内で実践する
・夏休みなどを利用して、日本の学校に短期留学させる
残念ながら、うちの子は日本語が得意ではありませんが、知り合いの子どもは、現地校(複数言語教育)に通わせて、上記の環境を徹底したことで、ほぼ完璧な日本語をマスターしている例が数人います。
親の努力次第で、バイリンガル・バイカルチャーな子どもを育てることが可能です。
帰国後の適応の難しさ
インターナショナルスクールと日本の学校では、教育システムや学習内容、教授法が大きく異なります。
そのため、帰国後に日本の学校に編入する際、様々な面で適応に苦労する可能性があります。
具体的には以下のようなことが挙げらます。
・評価方法の違い(プロジェクト重視 vs テスト重視)
・学習内容の違い(特に国語、社会、日本史などの科目)
・学校文化の違い(規律、礼儀作法、集団行動など)
特に受験システムの違いは大きな課題となります。
日本の高校や大学受験では、日本独特の受験テクニックや、日本の教育課程に基づいた知識が要求されます。
インターナショナルスクールの教育を受けてきた生徒にとって、これらに対応するのは容易ではありません。
そのため、インターナショナルスクールへ入る前に、将来の道筋をしっかり考えておくことが大切です。
友人関係の変化
インターナショナルスクールでの友人関係の変化は、日本人の子どもたちにとって大きな課題となることがあります。
多様な文化背景を持つ生徒たちとの交流は、日本で「当たり前」とされていた概念が通用しないことを実感させます。
言語の壁や、コミュニケーションスタイルの違い、価値観の衝突など、様々な面で戸惑いを感じる可能性があります。
例えば、日本的な遠回しな表現や「空気を読む」といった概念が理解されにくく、自己主張の方法や友情の深め方にも違いがあります。
これらの経験は一時的にストレスや孤立感を生むかもしれません。
しかし、長期的に見ると、これらは異文化理解力や適応力を養う貴重な機会となります。
ただ、この環境がすべての子どもに適しているわけではなく、万が一自分の子どもが適応できない場合は、適切なサポートが必要になることも考えておかなければいけません。
これらのメリットとデメリットは、あくまで一般的な傾向です。
例えば、「英語力の向上」というメリットも、英語に対して苦手意識を持つ子どもにとっては大きなストレスとなる可能性があります。
逆に、「日本語力の低下」というデメリットも、バイリンガル教育に熱心な家庭では問題とならないかもしれません。
重要なのは、これらの一般的な特徴を踏まえつつ、お子様の個性や家族の価値観、将来の計画などを総合的に考慮することです。
また、インターナショナルスクールを選択した後も、定期的にお子様の様子を観察し、必要に応じて補完的な教育や支援を行うことが大切です。
インターナショナルスクールが良いか悪いかは一概に言えず、それぞれの家庭や子どもの状況に応じて、慎重に判断する必要があります。
日本人学校のメリット・デメリット
続いて日本人学校のメリットとデメリットに感じる点をご紹介します。
ここで私が説明する日本人学校のメリットとデメリットは、私自身の子どもの直接の経験ではなく、私の観察と経験に基づいています。
私の子どもたちは、日本人学校に通っていません。
しかし、私自身が海外の日本人学校で契約社員として教えていた経験があります。
海外の日本人学校は、基本的に日本国内の学校とほぼ同じカリキュラムや運営方式を採用しています。
つまり、海外にいながら、日本の教育システムをそのまま体験できる環境です。
これらの点を踏まえた上で、私が感じた日本人学校のメリットとデメリットをこれから説明していきます。
これはあくまでも、私個人の考えと一般的な傾向からお伝えするもので、個々の学校や生徒によって状況が異なる可能性があることをご了承ください。
日本人学校のメリット
私の考える日本人学校のメリットは、以下の5つです。
日本の教育システムの継続
日本人学校では、文部科学省の学習指導要領に基づいたカリキュラムを採用しています。
これにより、海外にいながらも日本国内の学校とほぼ同じ内容を、同じペースで学ぶことができます。
例えば、5年生の算数で学ぶ内容や、中学2年生の理科で扱うトピックスなどが、日本国内の学校と同じタイミングで学習できるのです。
また、日本の検定教科書を使用しているため、帰国後に日本の学校に編入する際も、学習内容の大きなギャップに悩まされることが少なくなります。
これは特に、国語や社会科などの日本の文化や歴史に関連する科目で顕著です。
さらに、日本の学校システムに特有の「学級担任制」や「係活動」、「清掃活動」なども継続して経験できるため、帰国後の学校生活への適応もスムーズになりやすいです。
日本語環境の維持
日本人学校では、授業はもちろん、休み時間や放課後の活動も含めて、ほぼすべての場面で日本語が使用されます。
これにより、日常会話はもちろん、学術的な日本語や、年齢に応じた語彙力を自然に身につけられます。
特に小学校低学年の子どもたちにとって、この時期に日本語環境で過ごすことは非常に重要です。
語彙の増加や文法の習得、読み書き能力の向上など、言語発達の重要な時期に日本語を使い続けることで、母語としての日本語力を確実に身につけられます。
また、日本語で思考し、自己表現する力も養われるため、帰国後も日本の学校でのコミュニケーションや学習にスムーズに対応できるようになります。
日本の文化・行事の体験
日本人学校では、日本の学校で一般的に行われる行事や活動がほぼそのまま実施されます。
例えば、入学式や卒業式、運動会、文化祭、遠足、修学旅行などの年間行事が日本と同様に行われます。
これらの行事を通じて、子どもたちは日本の季節感や文化的価値観を体験的に学べます。
運動会での組体操や応援合戦、文化祭での協力作業など、日本的な協調性や集団意識を育む機会となります。
また、七夕やひな祭りなどの日本の伝統行事も学校で取り上げられることが多く、日本の文化や習慣を海外にいながらも身近に感じ、理解を深められます。
少人数制の利点
ペナン日本人学校もそうですが、海外の日本人学校は、一般的に日本国内の学校よりも小規模です。
例えば、1学年1クラスで、クラスの人数も20人以下というケースも珍しくありません。
実際、私が教えていた時、1クラス3人という学年もありました。
このような少人数制の環境では、教師がひとり一人の生徒に目を配りやすく、個々の学習進度や理解度に応じたきめ細かな指導が可能になります。
例えば、授業中に質問がしやすい雰囲気があったり、個別の添削指導の時間が多く取れたりします。
また、生徒同士の関係も密接になりやすく、学年の壁を超えて協調性やコミュニケーション能力を育むのに適した環境といえます。
さらに、学校行事やクラブ活動でも、ひとり一人が主体的に参加する機会が多くなるため、リーダーシップやチームワークを実践的に学ぶことができます。
国際的な経験との両立
日本人学校に通いながら海外で生活することで、日本のアイデンティティを保ちつつ、国際的な経験を積むことができます。
例えば、スクールバスの運転手さんは現地の方ですし、学校には現地スタッフもいます。
また、週末の買い物など、日常生活の中で現地の言語や文化に触れる機会も増えるでしょう。
多くの日本人学校では、現地校との交流プログラムや、地域の文化イベントへの参加など、国際交流の機会を設けています。
これにより、日本の教育を受けながらも、異文化への理解や国際感覚を養えるのです。
さらに、海外で過ごした経験は、将来のキャリアにおいても貴重な資産となる可能性があります。
日本企業のグローバル化が進む中、海外経験を持つ人材への需要は高まっています。
日本人学校のデメリット
それでは、日本人学校のデメリットを見ていきましょう。
ここで紹介するデメリットを認識した上で、日本人学校が最適な選択肢かどうかを慎重に検討することが重要です。
英語学習の機会の制限
日本人学校では、授業や日常のコミュニケーションのほとんどが日本語で行われます。
英語の授業は設けられていますが、その時間数は日本国内の学校とほぼ同じです。
例えば、小学校高学年でも週に2〜3時間程度、中学校でも週4〜5時間程度にとどまることが多いです。
これは、英語を日常的に使用する環境にある現地校やインターナショナルスクールと比べると、明らかに英語に触れる機会が少なくなります。
結果として、リスニングやスピーキングなどの実践的な英語力は、日本にいるときと変わらない可能性があります。
特に、ペナンのような英語が広く使用される環境にいながら、その機会を十分に活かせないのは残念なことです。
グローバル社会で求められる高度な英語コミュニケーション能力の育成という点では、不利になる可能性があります。
多様性の制限
日本人学校の生徒のほとんどが日本人であるため、多様な文化背景を持つ友人と日常的に交流する機会が、現地校やインターナショナルスクールと比べると限られる傾向にあります。
例えば、宗教や食習慣、価値観の違いなどを、身近な友人関係を通じて直接的に学ぶ機会が相対的に少なくなる可能性があります。
これにより、将来国際的な環境で働く際に必要となる異文化理解力や多様性への適応力を養う機会が、学校生活の中では制限されてしまいます。
ただし、海外に住んでいること自体が多様性を経験する機会となり、学校外での活動や現地家族との交流を通じて、これらのスキルを補完的に育成することは可能です。
現地社会との交流の制限
日本人学校に通う子どもたちは、学校生活の大部分を日本人コミュニティ内で過ごすことになります。
放課後や週末も、日本人家族同士の交流が中心になりがちです。
そのため、マレーシアの豊かな多民族文化や、現地の生活習慣を深く理解し、体験する機会が限られてしまいます。
例えば、マレー語やホッケン語(ペナンで広く使われる中国語方言)を学ぶ機会が少なかったり、現地の祭りや行事に参加する機会が限られたりすることがあります。
これは、せっかく海外に住んでいるにもかかわらず、その国の文化や社会を十分に理解し、吸収する機会を逃してしまう可能性があることを意味します。
帰国後の国際的な適応力
日本人学校では日本の教育システムに近い環境で学ぶため、帰国後に日本の学校に適応しやすいというメリットがあります。
しかし、逆に言えば、国際的な環境への適応力を十分に育成できない可能性があります。
帰国後に国際バカロレア(IB)プログラムを採用している学校や、英語で授業を行う学校に進学したい場合、学習スタイルの違いを一から習得する必要があります。
また、海外の大学進学を目指す場合、TOEFLやIELTSなどの英語試験対策や、欧米式の小論文(エッセイ)の書き方など、追加の準備が必要になるでしょう。
学校規模による制約
ペナン日本人学校のような小規模校では、生徒数が少ないため、提供できる教育プログラムや活動に制限がある場合があります。
例えば、部活動の選択肢が限られることです。
野球やサッカーなど、チームスポーツを行うのに十分な人数が集まらないことも考えられます。
また、文化部においても、吹奏楽部や美術部など、多様な選択肢を提供するのが難しい場合があります。
授業においては、生徒数が少ないため、グループワークやディベートなど、多様な意見を交換する機会が限られるかもしれません。
これらの制約は、生徒の興味や才能を多角的に伸ばす機会を制限してしまう可能性があるかもしれません。
以上のようなメリットとデメリットを十分考慮して、学校を選びたいですね。
日本人学校は日本の教育システムと国際経験のバランスを取りつつ、子どもたちの成長を支援する環境を提供しています。
ただし、これらのメリットを最大限に活かすためには、家庭でのサポートや、学校外での活動も重要な役割を果たします。
また、デメリットも学校や家庭の努力によってある程度軽減することが可能です。
個々の子どもの性格や家族の状況に応じて、適切な教育環境を選択し、必要に応じて補完的な活動を取り入れることが大切です。
インターナショナルスクールvs日本人学校:メリット・デメリット比較のまとめ
インターナショナルスクールと日本人学校、それぞれにメリットとデメリットに感じることを紹介しました。
英語力や国際感覚の習得、日本の教育システムの継続、文化的アイデンティティの維持など、様々な観点から比較してみました。
繰り返しになりますが、もっとも重要なのは、これらの一般的な特徴を踏まえつつ、お子様の個性や適性、そして家族の価値観や将来の計画を総合的に考慮することです。
どちらが「正解」というわけではなく、お子様にとって最適な環境を選ぶことが大切です。
また、選んだ学校のデメリットは、家庭での取り組みや学校外活動によってある程度補うことができます。
定期的にお子様の状況を見守り、必要に応じて方針を調整することも重要です。
さらに、万が一選んだ学校がお子様に合わなかった場合に備えて、柔軟に対応できる準備をすることも大切です。
転校の可能性や、補習授業の利用など、代替案を事前に検討しておくといいでしょう。
最終的には、お子様と十分に話し合い、家族全体で納得のいく選択をすることが、充実した海外生活と将来の成長につながります。
どちらの学校を選んだとしても、海外で生活したことは、お子様にとって非常に貴重なものとなるでしょう。
海外経験が成功だった、または失敗だったと感じたとしても、その経験を通じて、将来の方向性を見極める手助けとなることを願っています。
海外生活にスムーズに馴染むために、日本で英語の準備を強くおすすめします。
こちらの記事では、英語の準備におすすめのスクールを紹介しています。